学習嫌いの真実。子どものやる気を引き出す「内発的動機付け」と、それを潰す「外発的動機付け」
前回、インスタにてたくさんの感想を下さりありがとうございました!
中には初めましての方もDM下さって感無量でした…!
ただ・・・インスタのストーリーズに、頂いた感想をシェアさせてもらったりしてるので
それで
前回感想送ったから今回も送らんといかんやつか…?
とか
全く気にしないで下さい!!
正直この動画の時代に、
こんな長い文章を最後まで読んで下さるだけでめっちゃ嬉しいので!!
もちろん感想頂けたらもっと嬉しいですが!(だからそれや)
と、いうのも
人間、最初は心から好きで楽しくやっていることでも
「義務」と感じ始めるとだんだん嫌になっていく
という有名な研究があるんですよ。
それで、例えば
なんか感想書かなあかん思たらブログ自体読むのもしんどなってきた
という状況に陥る流れって、心理学ではよくある事。
そしてそれ実は、
子供にも当てはまります!!
もうお気づきかもしれませんが今回はその話です。(唐突に)
いつの間にか本題に突入するという新しい試み
日本の子供の学習意欲は低下している
ベネッセが東京大学との共同調査で
「2019年~2021年にかけ、子供の学習意欲の低下が急増している」
との結果を出しました。
【参考記事】
https://edtechzine.jp/article/detail/7423
しかも学年が上がっていくにつれ、学習意欲が向上する子より低下する子が増えているようです。
特にこのコロナ禍で、色んな実体験の機会を奪われたことも関係しているのかもしれません。
真夏の公園で、ずれるマスクを直しながら遊んでいる子供たちを見ると、その健気さに無性に胸が痛む……
赤ちゃんはみんな好奇心の塊。
好奇心旺盛で目についた色んなものに手を伸ばしたり、
パパママの言葉をすごい勢いで吸収したり
もれなく高い学習意欲を持って生まれてきます。
見よ……この恍惚とした表情。
でもそれが、成長とともに低下していってしまうのは何故でしょう。
「義務に感じる」
「強制されている」
「やらなければいけない」
これらの感情は
子供の学習意欲の低下や
習い事などでやる気を失う事にもかなり関係あるんです!!
幼児期以降
習い事も勉強もやる気がなく、大人になっても無気力な人になるか……
いくつになっても好奇心旺盛で気になる事はどんどん学習していく
やる気の塊みたいな人になるか……
「はは(笑)
お金とかそういう物質的なものはもう求めてませんね(笑)」
(※とか抜かしてそうな写真)
後者のような人間になるにはどうしたらいいか、
有名大学や、心理学者の研究結果を交えて解説していきます。
今回もいつも通り長くなりそうなので2記事に分けます!
この記事では、
●子供が勉強や習い事などで、やる気を失ってしまう原因はどこにあるのか?
●子供の意欲・好奇心を殺す「日常の〇〇システム」
●「意欲を下げる要因」についての根拠となる実験
●幼児期に育てるべき「内発的動機付け」について
やっと記事を分けるという事を覚えた女。
学習意欲を高めるメリット
まずは
そもそも何で学習意欲高めなあかんの?
っていう中二病に侵されたティーンエイジャー達が抱きがちな疑問について。
学習意欲を高めることで得られるメリットについてまとめました。
〇学力向上
〇「知る」事の楽しさを実感し、人生が豊かになる
〇学ぶ事に抵抗がない為、勉強以外のより多くの知識や知恵を身に付ける力が育つ。
それにより会話のボキャブラリーが増え、人間としての深みが増す
〇物事を多角的に捉えることができるようになる
世の中ってどんどん新しい情報やシステムが増えていくので
いくつになっても「学ぶ」ことが好きで
新しい事にも抵抗ない人って最強ですよね!
内発的動機付けと外発的動機付け
って、聞いたことありますか?
まずは両者の違いから。
内発的動機付けとは?
活動そのものから得られる楽しみの為に、その活動に取り組んでいる状態。
楽しいからやる、好きだからやる。
という好奇心を原動力とし、内側から湧き出るもの。
つまり「そこに山があるからです」ってことか
対するこちらは…
その活動によって得られる報酬や見返り・利益をモチベーションにしている。
ご褒美がある。怒られたくないからやる・・・など。
幼児の間は報酬などの外発的動機に依存させず、
知的好奇心を育て内発的動機で何事にも取り組むほうがその後の学習意欲を育てる事に繋がるよう。
「お小遣いあげるから公文の宿題30枚しようね」(外発的動機)
こういった環境が続く事は良くないという事です。
人間の好奇心・やる気を殺す「報酬システム」
エドワード・L・デシが内発的動機付けに関する研究を行った話です。
飛ばしてもOKだが理解が深まるのでできれば読んで欲しいやつ。
結果だけ知りたい方は次の【実験の結果】まで飛んでOK!
デシの実験
デシは、ソマ・パズルというパズルを使った実験を行いました。
ソマパズルはこんなん。(Wikipediaより画像)
当時(1971年)の学生の間で大人気だったらしい。
今で言うTikTokみたいなもんかな(絶対違う)
実験内容はこちら!
●1日目、被験者となる学生達を集め、ソマパズルをやってもらった。
●2日目、今度は学生たちをA・Bふたつのグループに分け観察を行う。
A,パズルを解くと金銭的報酬(1ドル)を受け取れるグループ
B,バズルを解いても金銭的報酬(1ドル)はないグループ
と、Aグループにだけ報酬をつけた。
パズルをやらせ30分経過した段階で、監察官が
はい、パズルはここまで。実験終了。自由時間です。
と、回答時間を終えたことを告げ、「事務手続きの為」という理由で学生を残し部屋を出る。
「監察官がいないあいだに、被験者が何をして過ごすのか」
が、実験の本筋である。
ちなみに実験室には、他に学生たちの興味を引く流行りの雑誌などが置かれている状態。
監視もなく、報酬を貰えるわけでもなく、他に面白い雑誌などがあるにも関わらずパズルを続けていたとしたら、
その人は明らかに内発的動機によって行動していることになります
実験の結果
お金(1ドル)という外的報酬が、パズルをする「楽しさ」(内的報酬)に悪影響を及ぼし、内発的動機づけを弱めたのだ。
引用:エドワード・L・デシ
彼らは最初、報酬なしでもパズルを取り組んでいたのに、
一旦報酬が支払われると、報酬なしではパズルに取り組む事をしなくなった
報酬に依存するようになったのである
締め切りの設定・目標の押しつけ・監視・評価など
これら全てが内発的動機を低下させる!
ちなみにデシは同様の実験を、内容を変えつつ何度も行っているので興味のある方は下のリンクから!
ちなみにスタンフォード大学のマークレッパーが、
幼児を対象に「パズル」の代わりに「お絵描き」を用いた、似たような実験をした。
結果、
デシの実験と同じ結果が見られたとのこと。
つまり、年齢関係なく、報酬を与える外発的動機付けは、もともとある内発的動機付け(好奇心)を損なわせるということ
なので、先ほど例に出した
「お小遣いあげるから公文の宿題30枚やろうね」
幼児期の子供にこういったやる気の出し方を続けてしまうと
それが常態化してしまい、結果内発的動機が育ちにくくなり、
能動的に学ぼうとする意欲が低下し、
ご褒美があるから何かをする
ご褒美がないと何もしたくない
という状態になってしまう可能性があるということです。
幼児の内発的動機付けは難しい
とはいえ、とはいえよ。
目的意識のない乳幼児に内発的動機付けは観察しにくく、
内発的動機付けの出現をひたすら待つしかないという難点があげられる。
「これさえやれば、学習も習い事もやる気満々な子に育つ!」
そんな魔法のような方法はねぇ。
※一見、「やる気がある」と評価された子どものやる気が、
内発的な自生的なものか、外発的に促されたものかは判断しきれない。
乳幼児は環境に左右されやすく、親以外にも
保育園・幼稚園の先生の関わり方にも大いに影響を受ける
との事。
とはいえ園の中まで親は監視できないし、こればっかりは先生方にお任せするしかない……
幼児の内発的動機を育てるためには
強制的に習い事をさせたり、〇〇をさせないと!
と焦る必要はなし!!
お子様が好きな事・夢中になっていることがあればその都度とことんやりきって、親子一緒に深堀り!
つまりさかなクンのお母様スタイル(信者)
心から好きな事に没頭するという経験の積み重ねが大切のようです。
また、「私たちは子どもに何ができるのか」という有名な著書では
以下の三つの要素が重要になってくるという。
それが【有能性】・【自立性】・【関係性】
ダーーっと説明していくぜ!
やり遂げる事はできるが簡単すぎないタスク
子どもの現在の能力をほんの少し超える課題
自分で選んで自分の意思でやっているのだという実感を最大限持たせる
管理・強制をさせない
親・先生・保育者など周囲の大人に好意を持たれ、価値を持たれ、尊重されていると感じる時
幼児の内発的動機付けを妨害する三つの要因
Hey!ここで幼児の内発的動機付けを妨害する3つの要因を紹介するぜ!
ズバリ……
賞罰教育…
褒められる為にやる・罰を受けない為にやるという状況。
これに慣れるとなかなかそこから抜け出さなくなり、
常に「外発的要因がないとやらない」という無気力な子になる
これに関しては有名な著書、「嫌われる勇気」
心理学者アドラーも
「褒めてもいけない・叱ってもいけない」
と、
この賞罰教育をすることを否定しています。
どないせぇ言うねん
気になるからこれについてもまた別の機会に掘り下げようと思います。
競争…
「他の子に負けちゃダメ!」
「●●くんの絵は上手だから100点! 〇×ちゃんの絵は50点!」
などですね。(今時こんな保育者いないと信じたい)
ちなみに私は小2の時、授業で描いた絵を先生に
「みんなこんな風に描かないように」と悪い例としてクラス中に晒されたことがある
あれから24年経った今でもこうして
ネチネチブログでネタにする程度には根に持ってる。
もし息子が同じ事されたら職員室にお電話すっかぁ……(将来のモンペ最有力候補)
「もしもしぃ…2年3組の●●の母ですけどぉ~……」(ホラー)
それはさておき
今では、教育現場に「競争や他者との比較」を持ち込むことはろくなことにならないと、
様々な心理学者や教育者が発信していますよね。
幼児期の子供は体格や発達の個人差が大きいので、常に競争に負ける子は益々学習意欲が低下していくそうです。
確かに、幼児期は月齢によってや、元々の向き不向きによってかなり差があるもんな。それは当たり前のこと!比べること自体なんの意味もない
有名な尾木ママも、教育に競争を持ち込むことについて
競争原理が生むのは“格差”だと警鐘を鳴らしています。
子供にとって競争によって目的を達成する事は害悪である
引用:教育心理学者Carole Ames and Jennifer Archer
良きライバルと切磋琢磨する事は良いようです。
※イメージ図
先日レビューを書いた佐藤ママも
「受験はどこまでいっても自分との戦い」
とおっしゃっていました。
わざと他の子と比較して、無理矢理子供のケツを叩こうとする行為が良くない(言い方)
☆佐藤ママの記事はこちら!
強制
これについてはみなまで説明せずとも
みんな大好きモンテッソーリでも
「規制されるとこなく自由にやらせるべきだ」
ということを言っているので納得する方も多いのでは?
子どもに「強制」して何かをやらせても、効果があることはほとんどないんですよね。
たとえそれが人気の教育法だったり、習い事だったりしたとしても。
子育てしていくにあたって、私が一番やりたくない事でもあります
子どもに高い学習意欲を持って欲しいと思うなら
子供のやる気を出させるには、まずは
日常生活に関わる全てのプロセスを大事にし
全てしてあげるのではなく一緒になってすることで共感を得、
親子ともに楽しく過ごすこと
が大事になってくるのではないかと思います。
そしてさらに幼児期以降、高い学習意欲を持った子になる為に
など書いていきますので、是非次の記事も読んでみて下さい!
好奇心旺盛で学習意欲の高い子であれば、
おのずとなんでも自分で疑問を持ち、調べたり行動に移したりが多くなってきます。
強制されるからやるのか
自分が楽しいからやるのか
同じ勉強をしていても、その吸収力には雲泥の差があるようです。
うちの子はもう中学生だから手遅れ
なんてことはありません。
もちろん、6歳以降のお子様にも効果あります。(なんなら大人にも)
これを知っているのと知らないのとでは人生の楽しさそのものに大きく影響するので
我が子の為にも是非、チラ見していって下さい!
【参考文献】
・「達成目標理論に関する研究ノート──達成目標概念の変遷及び国内文献レビュー──」
・児童の授業中における内発的動機づけを促す教員の効果的なほめ方の類型
・内発的動機付けと学習意欲の発達
・人を伸ばす力 内発と自立の勧め
・ゲームをやめられない子供にゲームを辞めさせる方法
・「私たちは子どもになにができるのか」
・「世界基準の幼稚園 6歳までにリーダーシップは磨かれる」
・「内発的動機づけに及ぼす報酬の効果
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